私は沙也加。
ぼっちOLである。
沙也加はクリオネが大好きだ。
体が透けていて、頭としっぽが赤くて、
心臓部分はハート型でとってもキュート。
翼を広げたような姿で水の中をひらひらと
泳いでる姿が、たまらなくいとおしい。
クリオネは、冬のオホーツク海で
流氷に乗って、やってくるらしいけれど、
沙也加は網走に行ったときに
オホーツク流氷館を訪れてクリオネに出会った。
あまりのかわいらしさに、水槽の前で、
30分くらい見入ってしまった。
でも、クリオネの本名は、「ハダカカメガイ」
と言って、巻貝の仲間だ。
生まれたてのクリオネは貝殻を
持っているけど、成長とともに、消えてしまう。
そして、その天使のような姿に似つかず、
クリオネは、肉食。
頭にある2つの触角の間から6本の触手が伸びて、
同じくらいの大きさの貝をガシッとつかんで、
殻の中身だけを食べてしまうらしい。
こんなかわいい顔で油断させて、
実は凶暴な天使というのも、自然界では
生きるためだから仕方ないが。
沙也加はまだオホーツクの流氷を
見たことがない。
いつか、流氷シーズンに訪れて、
流氷に貼りついた生のクリオネを
見てみたいものだ。